“ケガレ”をめぐる、ツルツルとごわごわ

蛇のウロコはつるつるしている。つるつるした“お肌”を好んだのは、古代の女性も同様だと思われる。そういうつるつるしたお肌の蛇が、脱皮が近づくと、だるくなってきて、お肌もゴワゴワしてくる。そういうのを、ケ(毛)というふうに、古代の女性が感覚したわけでしょう。

 

今は、蛇というと“わー、気持ち悪い!”という反応が反射的に出るわけですが、古代の女性、とくに巫女は、蛇に親近感をもっていたということが考えられる。脱皮が近づくと、皮膚がごわついてきてダルくなり、脱皮が終わるとリフレッシュしてつるっつるになる。

 

吉野ひろ子さんの“扇”の研究は、民族学的な分野で具体的な性の領域へ踏み込んだということで、当時エキセントリックな扱い方をされたということですが、冒頭、高校生の時に沖縄に修学旅行に行った時にビロウの樹を見た時に、“男性のアレ”を連想した、と。

 

これは、ビロウの樹木の表皮が、樹木のくせにとてもなめらかで、“男性のアレ”を連想したとあり、おそらく吉野さんはこの時点で性体験があるわけですが、男は毛が多いわけです。女性にくらべて、皮膚のなめらかさ、毛、そこが違う。

 

皮膚が硬めで毛が多い男の体のうち、局部の皮膚だけは毛がなく、つるつるしており…性交の際に入っていくのでつるつるしている必要があるのだが…そのつるつるした感じが“面白い”、という、硬く毛があることとツルツルしていることの対比の妙、おもしろさですね。

 

この感性は、女性でしょう。男は、大きいというサイズ感にこだわる。目ですね。女性は、つるつるしている、みたいな、皮膚感覚にこだわりがいく。これは、やはり性を扱った民俗学者の赤松氏も言っている。“自分がモテたのは、皮膚が女性みたいにやわらかくてキメが細かかったからだ”と。

 

先に新宿でホスト殺人未遂がありました。どんなにイイ男かと思って検索してみると、たいしたことはない。しかし、とても肌の色が白く、つるつるした男の子なわけです。実際には、そういうタイプが実は、モテるのですね。

 

“ケガレ=毛離れ”のニュアンスの“毛”は、ヘビのウロコがつるつるしているのが、ガサついてきて、けばだってくるようになると、脱皮となり、脱皮したヘビは生き返ったようになったリフレッシュする。そこに、女性とヘビとの親和性があり、毛が離れて、という身体感覚となる、ということでしょう。

 

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お肌がツルツルのエロティックなビロウ樹

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たんなる主婦が驚くべきセックスの発見をした!