全体知覚と判別知覚 女性と男性

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 胎児は妊娠9~12週ごろには、皮膚の感覚が機能し始めるので、腹部に手を当てている人の温かさや声を、皮膚感覚で感じとれると考えられます。(『体内記憶』p.153)
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声の感知が皮膚でできるというのは、振動感覚によるのだろう。

太鼓が、動物の皮、皮膚が用いられているのは、良く振動するからだろう。

妊婦特有の感覚の過敏さが、皮膚感覚に向かう。

胎児の皮膚感覚と共有されている、ということなのだろう。

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人間の皮膚には、原始的なレベルではあるが、五感が存在し、しかも、皮膚感覚のレベルで全体的に統合されているという研究がある。(『皮膚という「脳」(山口創)』など)

いわゆる「直観」や「第六感」は、この原始的な皮膚感覚と考えることもできる。

また、皮膚感覚とは、振動感覚でもあり、なんらかの働き、無意識的な働きにより、もろもろの感覚が「振動感覚」にいったん変換されて、それが皮膚で受容されるのだろうか。

アフリカの部族が太鼓で会話をするらしい。皮膚感覚という原始感覚にもとづいているのだろう。

そこでは、通常は分離されているものが、全体として伝わっている。共感されている。いわゆる呪術的作用である。

(視覚は見えるものを対象化する。聴力は聞こえるものを対象化する。…逆にいえば、見たいものを見、聞きたいものを聞いているに過ぎない。その対象化の作用は、裏返って、好きなようにそれを知る、恣意性となる。)

全体性は、共感ベースであり、対象化の働きは、判別的である。判別の判、半は、二つに分けるという意味となっている。

判別性の知覚は、おもに、男が用いる。

全体性の知覚は、おもに女性が、共感のために用いてきた。

発生学が示すとおり、男が女から派生している。

原始社会では、祭祀を女性がやり、政治を男がやる。

従来、祭祀が政治を包摂していたが、高度文明社会では、その関係が崩れる。

全体性知覚を、判別性が、はるかに凌駕していく。

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現在、さまざまな研究が進み、「女性の時代」が叫ばれている。

そこで問題となるのは、女性の時代とは言っても、当の女性が、ほとんど男性化しているという点だろう。

高度文明化の前で、ほとんど、知覚の問題は不可逆である。

それゆえに、「昔に戻る」のではなく、現代流の対応が必要なのだろう。